今回の話し手 斉藤 吉司さん
シモキタ園藝部 コンポストチームのリーダー。自宅の庭で雑草が堆肥に出来ると解った瞬間、雑草が宝物に変わった。シモキタ園藝部の私たちコンポストチームは、のはらの宝物-雑草と街に潜む宝物-、コーヒーパルプ、そば殻、フルーツパルプを混ぜて堆肥を作り、土に還す循環を大切にした活動を行っている。
ウェブサイト:https://shimokita-engei.jp/
“まちの植物を守り育てていく”シモキタ園藝部
事務局 はじめに、斉藤さんが所属するシモキタ園藝部についてお話をうかがいたいと思います。
斉藤吉司さん(以下、斉藤さん)私が所属するシモキタ園藝部は、世田谷区の北沢・代沢・代田地域を主なフィールドに、まちの植物を守り育てていくことを目的として、2020年4月に発足しました。ちょうど小田急線沿いの場所に活動拠点があるのですが、もともとは、線路跡地を緑いっぱいにしたいという住民の方の声から、シモキタ園藝部の前身となる「シモキタ緑部会」が結成され、活動がスタートしました。
シモキタ緑部会は、線路跡地の活用に際して、魅力的なまちにしていくためにはどうしたらいいのかを住民主導で話し合う「シモキタリング」の部会の一つで、その活動の一環として、地域に緑を増やす提案を行い日々活動を行っています。その活動がきっかけで、世田谷区と小田急電鉄が中心となり「下北線路街」の計画がはじまり、その中で事業者を巻き込んで生まれたものの一つが、「まちの緑と人々が関わり合う仕組み」であるシモキタ園藝部です。
私は、シモキタ園藝部が部員を募集しているのを見かけ、面白そうだなと思い入部しました。今では、シモキタ園藝部が行っているコンポスト活動のリーダーとして関わっています。
※コンポスト:家庭から出る生ごみや落ち葉などを、微生物の力を利用して発酵・分解させ堆肥化するもの。
シモキタ園藝部が管理する広場「のはら」
事務局本業は、どういったお仕事をされていらっしゃるのですか?
斉藤さん私は、平日工務店で働いています。そのため、シモキタ園藝部の活動は、平日の夜にオンライン会議に参加したり、休日に緑地に出向いたりして行っています。
事務局本業でのご経験を通じて生まれた、シモキタ園藝部での活動はございますか?
斉藤さん私は、長年建築に携わってきたので、コンポストがある建物を部員の方と一緒につくりました。皆さんで木を切って手づくりしたので、とても愛着が湧きます。今でも、つくった建物を起点に、周りの環境がもっと良くなる方法はないか試行錯誤中です。建物の上部に鳥の巣箱もつくったので、いつか鳥の鳴き声を聞くことができる日が楽しみです。
事務局コンポストは、どのようにつくっているのですか?
斉藤さん落ち葉や雑草などを集めて3か月ほど置いておくと、微生物の力で分解され、堆肥になります。コーヒーかすを一緒に混ぜると発酵がよく進むので、下北沢の珈琲屋さんから毎週コーヒーパルプをいただいています。
コンポストには、定期的に空気を入れる必要があるので、かき混ぜなければなりません。今は、2週間に1回ほど部員交代で行っています。できた堆肥は緑地で活用したり、地域の方に使っていただいたりと街に循環させています。
事務局シモキタ園藝部に入るとさまざまな体験ができるのですね。イベントなども定期的に行われていると思いますが、企画はどのようにできあがっていくのですか?
斉藤さん基本的に、部員の方の声を大切に、部員の皆さんがやりたいことを実現できるようにしています。
部員の方の提案によって実現した草木染めワークショップの様子
本当にいろんな方が部員にいらっしゃるので、ご自身がやってみたいと思うことに対して、他の部員の方の力を借りることもできます。
もちろん、その道のプロの方を呼ぶという方法もできます。最近では、庭のお手入れを学ぶ街角講座がはじまり、プロの方に木の剪定方法を学ぶことができるので、とても人気のある講座です。
事務局シモキタ園藝部の方たちは、どういった方々で構成されているのですか?
斉藤さん幅広くいらっしゃいます。親子向けのコンテンツもあるので、お子様だと小学生から参加してくださっている方もいます。大人の方だと60代の方まで、職種は、会社員や経営者の方などさまざまです。また最近では、大学生の方も入っていただいて、活気があふれています。
世田谷に広がる循環の輪
事務局先日、SETAGAYA PORTのイベントにコンポスト展示を行っていただきました。実際に展示されてみていかがでしたか?
コンポスト展示の様子
イベントレポート(https://setagayaport.jp/news-events/ethical_setagaya_2022_report/)
斉藤さんとても良かったと思います。イベントで直接来場者の方とお話しして、コンポストについて知っていただくと、理解度も変わりますし、実際にコンポストをやってみるきっかけになると思います。また、他の事業者さんとの関わりもできました。出店されていたエシカルフルーツを販売する「東果堂」さんが、果物の皮を乾燥させたものを持ってきてくださり、コンポストに入れていただきました。その後もお付き合いがあり、先日は、20kgほど乾燥させた果物の皮をシモキタ園藝部の緑地に持ってきてくださりました。今頃コンポストの中で、微生物たちが喜んでいると思います。
また、2023年2月16日(木)、17日(金)に東果堂さんが出店するイベントでコンポストを展示させていただけることになりました※。 これもひとえに、イベントに出店したおかげです。繋がりをつくっていただき、ありがとうございました。※2月上旬にインタビュー実施。
事務局そう言っていただけて、とても嬉しいです。イベント後も、事業者の方々の間で交流が生まれていらっしゃることを知ることができ、イベントにご参加いただけたことに、私たちも感謝をしております。
シモキタ園藝部の今後の目標を教えていただけますか?
斉藤さん目標としては、まずは「15年間続けていこう」という話を運営メンバーの方たちとしています。昨年できたばかりでまだまだ手探り状態ですが、地域の皆さんを巻き込んで「世田谷区は緑が多くて素敵だね!」「緑の循環が生まれているね!」そう言ってもらえるように精進していきたいと思います。
事務局SETAGAYA PORTメンバーの方に伝えたいことはありますか?
斉藤さんぜひシモキタ園藝部に入部してください!きっと癒されますよ。ぜひ、活動の中心メンバーとして一緒にシモキタ園藝部をつくり上げていきましょう。
シモキタ園藝部がつくる緑の循環
ご自身の活動について、終始、笑顔でお話ししてくださった斉藤さん。
斉藤さんが取り組む「コンポスト」が自宅に一つあることで、ひと家庭から出る生ごみの量を減らし、人と自然の新たな循環を暮らしの中に生み出していくことができます。
「キエーロ(コンポスト)をたくさんつくり、生ごみを減らす取り組みを行っていきたい」
ぜひ、斉藤さんの思いとともに、コンポストをはじめとしたシモキタ園藝部の魅力を、ぜひ現地で感じてみてください。
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