今回の話し手 薄井華香さん

2005年石川県生まれ18歳。2021年に株式会社Soffione代表取締役に就任。同年、金沢フルーツ大福凛々堂経堂店店長に就任。2022年に果物とお菓子のお店「華果」を設立。2023年より青果ブランディング事業を開始。

Instagram:https://www.instagram.com/hanaka_kyodo/
ECサイト:https://hanaka.theshop.jp/

事務局はじめに、簡単な自己紹介をお願いできますか?

薄井華香さん(以下、華香さん)高校3年生 18歳の薄井華香と申します。私は、世田谷区の経堂で「果物とお菓子の店 華果」という果物を使ったスイーツショップを行っています。学校が通信制なので、お店の経営をメインとしながら、学校の授業をオンラインで受け、お店と学校の両立をしています。実は今日このあとも授業なんです。

事務局授業を受けながらお店を経営しているのですね!
では、華香さんがフードロス飲食事業、青果ブランディング事業を行う理由をおうかがいできますか?

華香さん私の実家は石川県で、青果の仲卸しをしています。そこで見た目が悪いなどの理由で、味には問題がないのに捨てられてしまう青果物を小さい頃からたくさん見てきました。フードロスになる食材は加工をしたら、全然食べられるのになという思いがあり、そういった廃棄をなくすためにお店を経営しています。

事務局身近に幼い頃から勿体無さを感じてこられたのですね…。
そんな「果物とお菓子の店華果」さんのこだわりのポイントを教えてください。

華香さんはい。1番伝えたいこだわりポイントは、果物の味です。自分自身でフルーツギフトのアルバイトをしたり、数えきれないほどの種類の果物を勉強してきました。「この時期の何月の何週目はこれが1番おいしいんだ」とか、「今年はこれがおいしい」というのをしっかり知り尽くし、厳選した上でスイーツを作っているので、果物のおいしさにはすごく自信があります。

事務局ありがとうございます!ちなみに、お店ではどのような商品を販売しているのですか?

華香さん1番人気の商品は、この間のマルシェで販売させていただいたリンゴ飴です!

(「果物とお菓子の店華果」さんは、昨年12月3日(日)に実施した、『Ethical Gift Market 2023』に出店頂きました!詳しくは、開催レポートをご覧ください!)
https://setagayaport.jp/news-events/ethical-gift-market-2023_-report

うちのリンゴ飴は特に、お客さんに "こんなにおいしいリンゴを食べたことがない”と言ってもらえるぐらい、おいしいリンゴです。産地直送で農家さんと定期的にコミュニケーションを取りながら果物を仕入れています。

事務局ロスになる果物も旬や味にこだわって仕入れているのですね!実際にイベントの際にリンゴ飴をいただきましたが、本当に味や食感のバランスが取れていて美味しかったです。あれ以降、たまにリンゴ飴を食べたくなります…。

華香さんありがとうございます!またいつでも経堂に買いに来てください!(笑)

事務局ぜひまた買いに伺います!華香さんがお店を経堂で開いたのには何か理由があるのですか?

華香さん経堂の近くには農大があるじゃないですか。父親が昔から「東京の“経堂”っていう街が1番、日本の農業に興味を持った子どもたちが集まってくる街だと思う。お店をするなら、絶対俺は経堂でやりたい。」と昔から言っていたんです。
(開業を決めた頃は)東京に上京してきたばかりで、地域に詳しくないし何もわからなかったので、父がずっとやりたいと言っていた経堂の街でお店を開くことを決めました。

事務局そんな背景があったのですね!!お店を始めようというのは、自分の意思だったのですか?

華香さんそうですね。東京に上京してきたのが高校1年生の時なんですけども、その時は起業したいから上京してきた、というわけでは全くなかったんです。石川県にいてもやりたいことや行きたい高校がなくて、「とりあえず東京に行っていろんなもの見てこよっかな」ぐらいの感覚で上京しました。その時に、とりあえず生活費を稼ぐ必要もあったので、スーパーでアルバイトを始めました。
ただ、やはりスーパーでも「これ汚いから捨てておいて」とか、見切り品コーナーに並んでいるものが売れなかったら、全部その日に捨てないといけなくて...。袋を剥がして全部捨てて...という仕事を毎日しているうちに「実家でも同じ光景見てきたし、スーパーでもこれか...」とやるせなさを感じていました。このままじゃダメだなと思い、お店を始める決心をしました!

事務局繰り返されるフードロスを目の当たりにしたのがきっかけだったんですね…。その後実際に事業を行っていく中で、困難だったことや、 嬉しかったことなどはありますか?

華香さん今年でお店を始めて3年目になりますが、 1年目は売り上げが良く順調だったので特別困ったことがありませんでした。2年目になって、一気に売り上げが下がってしまって…。何を売っても売れないし、「作ってもどうせ売れないならお店を開けない方がいいのかな」とか、「イベント出店してもどうせ売れないし」と自分自身もどんどんマイナスな思考になっていってしまいました。一度「お店を畳もうかな」と悩んだ時があったんです。

お店を始めて1、2年目の頃は、女子高生という肩書きでお店をしていることをいいふうに思わない方もいて、ありもしない口コミを書かれることもありましたが、めげずに3年間お店を続けてきました。今年ぐらいから、お店の常連さんも増え、昔からこの街に住んでいらっしゃる方も「どんなことやってるの」とか、興味を持って聞いてくれて。

3年経ってようやく街の人たちにも認められてきたと実感することができています。経堂にいるいろんな人たちが自分のことを応援してくれて、背中を押してくれているからこそ、楽しく続けられています。

事務局お店の売上が下がっていた時期はどうやって乗り越えたんですか?

華香さん知り合いから誘ってもらったマルシェのあとで、「美味しかったです」とか、「また出店してほしいです」「買いに行きます」とDMなどで連絡をもらって、あ、自分の商品ってこんなに人に驚きや感動を与えることができてるんだなと実感して、(もう一度)ちょっと向き合ってみようかなと思いました。

その後も別のマルシェに出店する中で「あなたから買いたいから今日はここまで来ました」と言っていただくことも増え、商品だけではなく「商品と人、接客も含めての商品」なんだと感じ、今もいい接客をとても大切にしています。

事務局ありがとうございます。これから挑戦していきたいことや、これからの目標などはありますか?

華香さんお店のフランチャイズ化をするのが目標です!

私はいろんなところに行って、いろんな人と会って話すことがすごく好きで、キッチンカーでフランチャイズ化をしたいと思っています。

リンゴを生産する際に、皮が割れてしまい、2割〜3割ぐらいが生食用としては出荷できないことがあるんですよ。そういうリンゴをどんどんリンゴ飴に加工して販売したり、多くの農家さんでフードロスが生まれている現状を救いながら、会社の規模を大きくしていきたいです。

ただ、フランチャイズする前に、教習所に今通っていて...。 4月ぐらいにキッチンカーを購入して、 お店は、来月から雇う社員に任せて、キッチンカーでいろんな全国を旅していきたいと思っています。

事務局それはこれからが楽しみですね!ちなみに、出店してみたい場所はありますか?

華香さんそうですね。はじめは、やっぱり地元の石川県で販売してみたいです!
今、石川県では年始の地震によって被災地の市場がストップしていた地域もあり、果樹や野菜を収穫しても、余って捨ててしまう状況にあるんですよ。被災地の地元農家さんともつながりがある華果では、現在(令和6年2月6日時点)能登半島地震復興支援の取組みとして、そういった野菜を実家の力も借りてかき集め、野菜セットにして販売しています!被災された農家さんと話した際、「石川県の野菜や果物を食べてほしい」と言っていました。捨てずにたくさん食べてもらえるよう、力になれたら嬉しいなと思っています。

事務局フードロスに対して積極的に取り組まれているのですね。華香さんの地元へ貢献したいという気持ちも素敵です。ぜひそちらもチェックさせていただきます!

では最後に華香さんから、記事を読んでくださっている方に、伝えたい事はありますか?

華香さんぜひ一度うちのりんご飴を食べて欲しいです!思っていたりんご飴の概念が変わると思うので、騙されたと思って食べてみてください!

ご自身の事業について終始笑顔で話してくださった華香さん。ご実家でも、青果に関する知識や仕事の大先輩であるお父さんと青果についての真剣な話ばかりしているそうです。フードロスに対し、自分にしか出来ない方法で真摯に、前向きに向き合う姿勢が伝わってきました。
華香さんの果物への真っ直ぐな情熱がこれからますます広がっていくのが楽しみですね!ぜひ経堂にある果物とお菓子のお店「華果」に足を運んでみてください。